紋章のような

My name is Samataka. I made coats of arms in my own way. Please accept my apologies. I didn't understand heraldry. I made coats of arms in escutcheons.

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第十一話(全十九話の予定)

第十一話 報告とか、事後の余波とか 私は興奮していた。昼間、畑仕事などを手伝いながら、顔には出していないつもりだけど。内心は、セピイおばさんから聞いた話が気になって、仕方がなかったのだ。 太陽が天辺をちょっと過ぎたくらいの時。私はセピイおばさ…

自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第十話(全十九話の予定)

第十話 交わされた言葉の数々 「昨日は、なんだかんだ言って結局、秘密めいた、際どい話も多かったね。でも今度こそ、それほどでもないはずだよ」 セピイおばさんは、そう言いながら、椅子の下にロウソクを置いた。私とセピイおばさんの間の椅子。強かった明…

自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第九話(全十九話の予定)

第九話 郷里への道のり 翌日は午後から雨になった。夜も降り続き、すれ違いざまにセピイおばさんから小声で言われた。「今夜は、やめておこう。また明日だ」と。 そして、さらに翌日。雨は止んだ。夕方からまた降り出したが、小雨程度。時には霧雨と言ってい…