今週のお題「わたしの好きな色」に参加します
今週のお題を見て、あれこれと言いたくなりました。
こうやって、紋章で色を使うのですから、そりゃあ、いろいろあります。
(注、ダジャレじゃないですよ)
例えばプロフィールにも書きましたが、
紋章学の配色のルールについていけない、とか。
で、好きな色と言いますと、
参加しておきながら、実は決めきれないでいたりします。
傾向はあるのですが。
どちらかと言えば、青、緑、茶色、紫などかな。
しかも、それぞれの濃いめのものを、ついつい選びがちです。
なぜかと言うと、それらを地にすれば、配置する予定の獅子や馬などの素材が映えるから。
ただし、これらの色を使いながら、少しは心配もしているんです。
こんな色ばっかり選んでいたら、性格が暗い奴とか思われないかな、とか。
まあ事実そうなんで、心配してもしょうがないんですが。
何より使い勝手がいいからですねえ。
使い勝手を言うなら、同様に黒も白も助かります。
濃い赤も貴族っぽくって良い。
と言うか枢機卿の色かな。
黄色も少し青や赤を混ぜて(IllustratorのYMCKなんです)濃くすると、
貫禄が出て金色の代わりになった気がしてきます。
とか何とか言っていると、そういう濃い色だらけになってきて。
紋章のイラストを見渡すと、今度はその偏りが面白くないんです。
淡い薄めの色を地にして、素材の動植物を濃くする手もあります。
中でも水色は、うちの娘が好きな色。
佐馬鷹のアイコンの紋章も水色にしました。
あと、ほとんど白に近い、薄いグレーとかベージュなども結構使いましたね。
ただ、この手の淡い色というものが、
どうも紋章学では認られていないようです。
+
こうしてつらつら書いていると、
思い出したことがあります。
「好き嫌いとはちょっと違うけど、
印象に残った、思い入れのある色なら、あるな」と。
それはまだ大学生の時。
一人旅に出ました。
要するに、こういう青くさいことをやりたい年頃だったわけですよ。
しかして、その方法とは。
JRの青春18きっぷで東京に行ってみる。
(青春18きっぷって、まだあるのかな?)
ご存じの方なら説明は要らないでしょうが、
このきっぷ、鈍行しか乗れないんです。
良くて、加算されない快速までですな。
地味でしょう。
青くさい上に、地味なんです。
青春してないよなぁ。
電車からの景色に飽きたら本を読んで、
途中でホームに立ってみたりして。
ひたすら鈍行に揺られます。
まず大阪までで一日。
翌日、大阪から東京までにもう一日。
計二日でやっと東京駅に降り立ったんです。
新幹線って、やっぱり速いんですね。
改めて思い知りました。
で、東京で一日使って、
神保町とか皇居のそばとか歩き回った気がします。
そう、気がするだけ。
なさけなや、歳くって記憶が薄れました。
ただそんな中で、忘れられないこともあります。
あれはたしか、泊まっていたカプセルホテルのロビーのようなところだったと思う。
僕はメモ帳にいくら所持金を使ったかなどを書いていました。
小心なもので、残金は十分にあるか、まさか足りないなんてことはないよな、とか考えていたんでしょう。
そんな僕を見て、一人のおじさんが話しかけてきたのです。
おじさんは、僕が所持金の記録を取っていることを褒めてくれました。
社会人になったら、そういう感覚が大事だぞ、とか。
そこまではありがたいことと感謝するのですが。
この話したがりのおじさんは少々調子に乗ったというか、口を滑らせたというか。
若造相手に少し自慢話もしたくなったのか、
こんなことを言い出したのです。
「出張とかで会社に購入してもらった新幹線などの切符を、
金券ショップで売って小遣いにしている」
おじさんとしては、これも機転のうち、
こういうやりくりも思いつくようにならなきゃダメなんだぞ、
とか言いたかったのかもしれません。
しかしまだ若造だった佐馬鷹としては、あまり良い印象が持てませんでした。
それはずるいんじゃない?
大げさかもしれないけれど、軽犯罪とも言えるのでは。
一応、目上の方として遠慮して言葉にはしなかったと思うのですが、
僕も表情に出ていたのでしょう。
そこで、おじさんはこう続けました。
「世の中には白や黒で割り切れない灰色の部分があるんだよ」
いわゆるグレーゾーンというものを教わった瞬間でした。
もはや子育てもする立場となった今では、
佐馬鷹も多少は経験を積んだつもりです。
考えようによっては、おじさんの行為はそんなに目くじらをたてることではなく、
シャレとして大目に見るべきかもしれません。
自分も職場のコピー機で何回か私用のプリントをしたりしました。
いくらわずかでも、コピー機の電気代とコピー用紙は会社が購入したもの。
規模や内容が違うだけで、おじさんと似たようなことをしているわけです。
したがって、言える立場ではないのですが。
しかし、とも思う。
そうやって、ちょっとぐらい、とか。
みんなもやってる、世間ではありがちなこと、とか。
言っているうちに、だんだん大きく重くなっていくのではないか。
その安易さというか油断がこわくないか。
気になって仕方がないのです。
以来、灰色、グレーを使う時に、おじさんの言葉が頭をよぎります。
いつもではないですが、時々ふと手を止めたりすることがあります。
灰色かあ。
あの頃より堅苦しさも少しは取れただろうか。
融通のきく、やわらか頭に近づけただろうか。
でもなあ。
でもなあ、と思えてくる。
+
というわけで、今週のお題には、佐馬鷹はあえて
灰色、グレー
と結論します。
かつ、自分の紋章の中で、
今回の話に最も近そうなものを探してみました。
これです。
濃いグレーと薄めのグレーがかみ合っています。
溶け合うような、溶け合わないような。
灰色、グレーって、なんだか考えさせる色ですね、
佐馬鷹にとっては。