紋章、図形のみ。今回は飛躍しますよ。
図形のみの紋章が続いております。
今回はこんな形。
元ネタを説明しましょう。
いつだったかNHKでアルハンブラ宮殿を紹介していたんですね。
その番組を何となく観ていた時に見つけたのが、今回の紋章の中に散らばっている図形。一体何なのかと申しますと、実はこれ、タイルなんです。アルハンブラ宮殿に敷き詰められたタイルの一つなんです。
あれほどの世界的な名所ですからね、この他にも変わった形のタイルがあったような気がします。しかし、私にはこのタイルが特に印象づけられました。面白かったんです。
まず一点だけの状態で見てみましょう。
こんなに凸凹して、しかもけっこう尖ってるし、これでタイルらしく並べられるのか、と疑問がわいてきませんか?
ところが!
試しにヨコ2つ、タテ2つの配置です。もうお分かりですよね。隙間がちょうどタイル一個分空いています!ここに色違いにしたタイルをはめ込めば、ジャストフィットでしょう。
いかがでしょう?
私個人としては、タイル一個だけの状態で見せられたら、タイルらしく敷き詰められるとは、とても予想できませんでしたね。
あんまり面白いんで、思わず紋章に取り入れた次第です。
やってみて分かったのですが、このタイルはどうやら、60°角や120°角を多用して形が整っているようです。よおく見ると正三角形がいくつか入ってます。特に真ん中とか。
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それにしても、アルハンブラ宮殿。イスラム勢力がイベリア半島にのり込んで来て、しばらくしてキリスト教勢力に追い出される際に残していった、まさしく世界遺産です。
私個人は元カトリック教徒として、ついついキリスト教文化に肩入れしたくなります。なので、追い返されて当然じゃないか、などとプリプリしてしまいそうです。東洋人の私がそんなこと言ってもしょうがないのですが。
それでも、それでも認めましょう。おそるべきイスラム文化。タイル一つとっても、このセンス、この機能美。脱帽しました。
なお、余談ですが。
アービングの「アルハンブラ物語」(講談社文庫)は、もちろん読みました。
アービング自身がアルハンブラ宮殿を訪れた感想だけでなく、宮殿や周辺地域にまつわる昔話なども取り上げていて、興味深かったです。
かつ、もう一冊、おすすめ。
コンチャ・ロペス=ナルバエスの「太陽と月の大地」(福音館書店)です。
こちらは同じスペインでも16世紀が舞台。キリスト教徒の貴族の娘と、改宗したという建前で共存を許されているイスラム教徒の若者が主人公。二人は幼なじみなのですが、身分の違いもさることながら、やがて時勢に引き裂かれることになります。
スペインの児童文学の名作だそうで、これが青少年読書感想文全国コンクールの中学生の部で課題図書として取り上げられていました。
実際に16世紀のスペインの空気はこんなだったんだろうな、と思いながら読了したものです。
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というわけで、今回は図形のみではありますが、少し攻め方を変えてみましたぞ。