落とし格子の紋章。
今回は、ずいぶん堅苦しいというか、
ごつい素材を持ってきましたぞ。
左の犬首は空きを埋める、おまけみたいなもんです。
メインは右の大きいヤツの方。
例えば、私が敵を追っかけて敵の城まで突入した、としましょう。
敵が屋内に入った途端、こいつが上からドスン!
敵とこちらが、あっという間に、この格子一枚で隔てられてしまいました。
しかも、この格子が重くて頑丈。
持ち上げることも壊すことも簡単には行きません。
その間に敵は悠々、自分の仲間と合流です。
その上で反撃ともなれば、こちらはひとたまりもありません。
逆にこちらが追っかけられた時は、
この格子がどれほど頼もしいシステムであることか。
とは言え、21世紀の今となっては、落とし格子も、すっかり過去の遺物となりました。
よほど歴史ものなどが好きな方じゃないと、落とし格子と聞いても、ピンとこないだろうなあ。
日本のお城では、あまり見かけないですし。
私の本棚では、南條紀夫さんの歴史短篇集「古城物語」(集英社文庫)の一場面だけ、かもしれません(「稲葉山城の一の門」P160)。
が、しかし。
西洋紋章の世界では、これがなかなか馬鹿にならない存在だったりします。
ひっさしぶりに森護さんの「西洋紋章夜話」をひっぱり出してみましょう。
なんと!落とし格子だけで、しっかり一章を割いてある(P31〜49)。
素材の中でも、けっこう使用頻度が高い、そこそこ人気があるということです。
というか、紋章だけに収まりません。
1ペンス貨や3ペンス貨など、イギリスの通貨にまで、たびたび登場しているほどです。
そういえばチェコのマッチラベルに載っている紋章でも、まめに描き込まれていたなあ。
(こちらをご確認いただけると、幸いです。
城門の中から、チラリとのぞいてます、落とし格子が )
それにしても、何で私は落とし格子を取り上げたのでしょう?
ベタな答えなので、すでにお気づきの方も多いかも。
そう。
やはりコロナウイルスです。
このウイルスを、落とし格子みたいにシャットアウトできたらなあ。
そんなことを考えたから、掲載してみたくなったのです。
一日も早く、ウイルスが収束することを祈るばかりです。
現場で奮闘してくださる医療関係者の皆さまに、まず感謝。
そして医療関係者の方々の労働環境が改善されますように。
感染された方も回復されますように。
+
追伸
上記のように、予約投稿を準備しておりましたら、
出たぁ〜。
出ちゃったよ。
ついに出ました。
緊急事態宣言。
まあ、緊急と表現するべき事態であることには、
私も異論はないのですが。
すでに緊急事態だと思ってましたし。
しっかしですねえ。
仕事が減るんですよ。
物件がいくつか丸ごと止まりました。
五月いっぱいまで物件を動かさない、とか言い出したお得意さま。
空恐ろしくなってきました。